2013年2月号 VOL.26 NO.297
・[特集]鉄骨造建築の制振・免震技術
・[Photo Topics]大阪、名古屋で「大型再開発」始動
・[Interaction&Collaboration]「Ring Around a Tree ―ふじようちえん増築計画―」
・[Aspiration]SASSTが「新春賀詞交歓会」を開催
・[Topics]A&A 「Vectorworks2013」、1月11日発売
・[Topics]「ASDO」と「JSCA」が共同研修会開催/構造計画研究所・構造設計部 免震・制振技術勉強会開く
・[Strutect]渡邉 秀仁さん
・特集:鉄骨造建築の制振・免震技術
東日本大震災以降、建物の耐震性能に加えて、建物を揺れから守る免震構造が注目を集めている。とくに免震技術はこれまでRC造マンションなどに集中していたが、特集では鉄骨造への採用にスポットを当てた。学校施設や病院、超高層ビル、事務所ビル、公共施設、物流倉庫、生産施設など多様な用途の鉄骨造建築への適用について、設計、ゼネコンなど計12社の構造設計者が事例を紹介。併せて計8社の制振・免震ダンパーなどを紹介する。
・Ring Around a Tree-ふじようちえん増築計画
手塚貴晴・手塚由比(手塚建築研究所)による設計で、代表作の一つと評価された「ふじようちえん」。本誌2月号では、鉄骨造建築の魅力と可能性を紹介する「Interaction&Collaboration」で取り上げる。各メディアが意匠設計の立場から紹介したのに対して、オーノJAPAN・大野博史氏が、構造設計者の立場から「ふじようちえん」の構造の核心に迫る。意匠が目指す幾何学デザインの実現に対して、構造設計者のアプローチ、ファブの役割が述べられている。
・好評の「大型店舗・大規模工場一覧」、市場動向把握に役立つ「分析頁」
好評連載の「大型店舗・大規模工場一覧」。延床面積1,000㎡以上の新築プロジェクトを紹介し、営業資料として活用されている。1月号から刷新した「プロジェクト分析」も好評。鉄骨量・溶接材料の月別推移、用途別件数・延床面積、全国のブロック別動向、都道府県別データ(鉄骨量・延床面積・建築件数・溶接材料)などを月別単位で分析・紹介する。国交省が発表する「月別建築着工統計」と異なり、今後の新築プロジェクトの動向分析資料となる。
●特集:鉄骨造建築の制振・免震技術
・塔状比の高い鉄骨造免震建物の実現に向けての工夫
―――広瀬 景一(清水建設)
・鉄骨造免震構造の可能性と限界
―――吉江 慶祐(日建設計)
・最近の鉄骨造免震病院の事例
―――藤田 芳治(久米設計)
・粘弾性ダンパーを付加したテンション構造
―――森田 明(松田平田設計)
・地上114mに免震層を配置した超高層鉄骨造の制振効果
―――岩間 和博(竹中工務店)
・免震+制振による安全+安心な無柱空間
―――西川 大介(日本設計)
・免震・制振を併用した事務所ビルの構造設計例
―――高橋 治・中村 仁(構造計画研究所)
・大規模空間を有する高層建築の免震構造
―――山我 信秀(NTTファシリティーズ)
・中層物流倉庫建築の免震化―ノンストップ操業を求めて
―――早崎 弘(日立建設設計)
・フィーレンディール外殻構造を採用した鉄骨造の免震施設
―――早部 安弘(大成建設)
・制震フレームを外装材とした中層鉄骨造オフィスビル
―――村松 匡太(鹿島建設)
・生産施設に適用した鉄骨造免震建築物
―――谷地畝 和夫(戸田建設)
・Product introduction
―カヤバ システム マシナリー/構造計画研究所/JFEシビル/川金テクノソリューション/川金コアテック/光陽精機/新日鉄住金エンジニアリング/日立機材/ユニオンシステム―
●Photo Topics
・大阪、名古屋で「大型再開発」始動
●Interaction&Collaboration
・「Ring Around a Tree ―ふじようちえん増築計画―」
―――大野 博史
●Aspiration
・SASSTが「新春賀詞交歓会」を開催
●Topics
・A&A 「Vectorworks 2013」、1月11日発売
・「ASDO」と「JSCA」が共同研修会開催/構造計画研究所・構造設計部 免震・制振技術勉強会開く
●BIM
・日本建築学会 「専門工事会社のBIM活用による建築生産の変革」
・テクラ 「Tekla BIMsight 1.7」をリリース
・テクラ 「Tekla Global BIM Award 2012」
●Project
・三井不動産が「物流施設開発」強化
・「(仮称)MM21-46街区プロジェクト」着工
・全国の建設プロジェクト(データ分析の見方)
・全国の建設プロジェクト(早分かり&一覧表)
―ビル/商業施設/工場/学校ほか―
・全国の建設プロジェクト(パース編)
・全国の建設プロジェクト(月別分析:12年10月)
●Strutec Data
・2012年10月の都道府県別建築着工面積/2012年11月の建築着工面積
●Regular
・ヨーロッパの橋と建築を訪ねて―SEWC2011参加と空間構造デザインの視察報告―
―10(最終回) ロンドン―変貌・進化する都市・建築とエンジニアリング・デザイン―
―――斎藤 公男
・英国の最も輝いた時期 産業革命期の構造技術遺産を現地に垣間見る
―第5回 テルフォード・バンゴールの建築物・構造物(1)―
―――新谷 眞人/山口 秋子/南出 州朗
・体験的な「溶接と強さ」の話
―その46 天竺の栴檀と南縁草 ―助け合う組織をもつ鋼材が高性能をもたらす――
―――豊田 政男
・建設関連産業の未来のための技術評論
―第31回 EUの建設産業戦略と日本の建設産業戦略―
―――藤盛 紀明
・ひとりDEBATE Part.2
―連載⑭―地震の解明がもたらす耐震設計の大変革 現在の耐震設計は安全性を保証できるのか?―
―――渡辺 邦夫
・構造道場
―第5回 「ドラキュラ」の巻―
―――高橋 治
・リレーエッセイ 建築と私 196 「世の中、全ては波動なり」
―――真崎 雄一
・随筆132 く:倶楽部
―――深見 準一
・Strutect 渡邉 秀仁さん
―戸田建設 建築設計統轄部 構造設計部 グループ長―
●表紙
ふじようちえん-Ring Around a Tree
東京都立川市にある幼稚園の増築計画で、建築主は学校法人みんなのひろば。設計テーマは「家具を必要としない建築」で、従来のツリーハウスに替わる延床面積約150㎡の屋根付き建築を増築した。設計は手塚貴晴+手塚由比(手塚建築研究所)、構造設計は大野博史(オーノJAPAN)、鉄骨は日南鉄鋼が担当。幼稚園の象徴的な存在である記念樹(欅)をぐるりと囲む形で平面が配置され、教室として使用する室内空間以外は家具・遊具の一部ともとれる空間を構成している。主な用途となる英語教室を一階と二階に配しそれを階段でつなぐ構造で、それ以外には各階2枚の床を挿入、二層・計7枚の床で構成している。耐震要素として梯子状のフィーレンディールトラスを採用、床の枚数が通常よりも多いことを利用、柱長さを短くして断面を抑えた。鉄骨部材の接合部はすべて溶接で、鉄骨がすべて露出し、しかも建築の大部分を鉄骨工事が占めるため、建築全般の工事を日南鉄鋼が担当した。