2012年10月号 VOL.25 NO.293
・[特集]知りたいBIM活用法
・[Photo Topics]SASSTシンポジウム 「高力ボルト接合の総てを知ろう」
・[新連載]英国の最も輝いた時期 産業革命期の構造技術遺産を現地に垣間見る
・[新連載]構造道場
・[構造設計と施工]共和町生涯学習センター
・[Topics]東京スカイツリー
・[Strutect]鈴木 裕美さん
・特集:知りたいBIM活用法
建築生産を改革するBIM(Building Information Modeling)を特集。BIMは欧米を中心に普及し、建築生産の一手法として確立されつつある。最大の特徴は建築の意匠・構造設備設計、鉄骨製作、建設まで建築データが共有できることで、変更データも共有する。しかし我が国では、BIMは脚光を浴びる半面、大空間建築やゼネコンが設計・施工する一部の建築に適用されているだけで、なかなか普及の次段階に進んでいない。特集では、BIM活用の基本を紹介する。
・BIMとは何か:適用事例からBIMを学ぶ
東京芸術大学准教授で構造エンジニア、金田充弘氏の「BIM:モノづくりのデジタル化は日本の建築業界をどう変えるだろうか?」が、BIMの入門編。デザイン建築や超高層ビルまで多くの建築にBIMを適用した山梨知彦氏(日建設計)が、「大型プロジェクトへのBIMの活用」で、意匠設計だけではなく、温度など環境面まで行ったシミュレーションが施主の理解度アップにつながった事例を紹介。鉄骨工作図や積算まで適用が幅広いBIMの事例も実務に参考となる。
・デザイン建築で鉄骨造建築の魅力を再発見
―新連載「英国の最も輝いた時期」、「構造道場」がスタート
デザイン建築は低層で規模もあまり大きくない半面、鉄骨造建築の魅力や構造設計者、ファブリケーターの「見えない努力」を映し出す鏡となる。10月号では、方杖式張弦梁構造を採用した「共和町生涯学習センター」を紹介する。この建物からは「ものづくりの粋」が伝わってくる。新連載「英国の最も輝いた時期」は、川口衞氏が監修。産業革命期に花開いた英国の構造物の魅力を改めて再発見する。「構造道場」は構造設計とは何かを1頁に凝縮した新連載。
●特集:知りたいBIM活用法
・BIM:モノづくりのデジタル化は日本の建築業界をどう変えるだろうか?
―――金田 充弘
・Business Tools―A&A/オートデスク/グラフィソフト ジャパン/ソフトウェアセンター/テクラ/ベントレー・システムズ/アークデータ研究所/日積サーベイ―
・BIM活用の実際
―大型プロジェクトへのBIMの活用―
―――山梨 知彦
―BIMによる鉄骨工作図―
―――鈴木 裕二
―BIM対応積算システム―
―――吉田 日都士
―interview 「建築設計におけるBIMの広がり・可能性」―
―――小俣 光一氏
―構造もBIMしませんか?―
―――大越 潤
・ヨーロッパのBIM事情
―――森 元一/廣重 隆明
・オートデスク 低価格なBIMソフト「Autodesk Revit LT」など発表
・A&A Solibri Model Checker 日本語版 製品発表会を開催/interview Solibri CEO/Solibri Model Checker
・「テクラ スキルアップセミナー2012」
・グラフィソフト ジャパン 「ArchiCAD16」などリリース/新製品発表会
・日本建築家協会(JIA)が『BIMガイドライン』を公表
●Photo Topics
・SASSTシンポジウム 「高力ボルト接合の総てを知ろう」
●新連載
・英国の最も輝いた時期 産業革命期の構造技術遺産を現地に垣間見る
―第1回 ロマンと苦闘に生きた、産業革命期の戦士たち―
―――川口 衞
・構造道場
―第1回 「柔剛一体」の巻―
―――高橋 治
●構造設計と施工
・共和町生涯学習センター
―方杖式張弦梁構造による耐雪型アリーナ―
―――大塚 眞吾/杉山 佳孝/倉田 高志/斎藤 公男
●Topics
・東京スカイツリー
―シリーズ第27弾 東京スカイツリー News―
―Good Point 「東京スカイツリー天望回廊」からの眺望―
・NTTファシリティーズ総合研究所 「振動解析技術セミナー」を開催
・建築学会 大震災「非構造材落下調査」で中間報告
・A&A Vectorworks教育シンポジウム 2012
・東京都 「緊急輸送道路沿道建築物」の耐震化
・神戸製鋼・溶接事業部門 新技術搭載の柱大組立溶接ロボ発売
・大東精機 「DNF」シリーズで新製品を発売
・片山ストラテック 「和製BIM」の世界を逐次、整備
・日本インシュレーション 鉄骨梁貫通部の高性能耐火被覆材「すりーぶたすけ」
・日本構造家倶楽部主催 「日本構造デザイン賞受賞記念講演会」
・日本免震構造協会主催 「巨大地震に対して免震・制振建築はどうあるべきか」
●Project
・全国の建設プロジェクト(早分かり&一覧表)
―ビル/商業施設/工場/学校ほか―
・全国の建設プロジェクト(パース編)
●Strutec Data
・2012年6月の都道府県別建築着工面積/2012年7月の建築着工面積
・2012暦年上期(1-6月)の着工面積と鉄骨需要量
●Regular
・ヨーロッパの橋と建築を訪ねて―SEWC2011参加と空間構造デザインの視察報告―
―06 ミュンヘン―40年輝きつづけるオリンピックスタジアム―
―――渡邊 朋宏/城戸 隆宏
・体験的な「溶接と強さ」の話
―その42 集中力に弱い木材を活かす―材料の特徴を知ってつなぐこと――
―――豊田 政男
・建設関連産業の未来のための技術評論
―第27回 ヒッグス粒子発見と建設技術―
―――藤盛 紀明
・ひとりDEBATE Part.2
―連載⑩―スズメ蜂とブドウ蜘蛛の関係 全く同じ「構造学」の既知と未知―
―――渡辺 邦夫
・リレーエッセイ 建築と私 192 「田舎での構造設計」
―――榊原 裕繁
・随筆128 え:エバンス
―――深見 準一
・Strutect 鈴木 裕美さん
―大成建設 設計本部耐震計画グループ リーダー―
●表紙
共和町生涯学習センター
建設地は北海道岩内郡共和町。共和町役場庁舎周辺に整備されている体育館、青少年会館、町民会館、多目的広場などのうち、老朽化した体育館と青少年会館を解体し、同敷地に新たに図書館、体育館を建設し、既存の町民会館と渡り廊下でつなぎ一体化した「町民の生涯学習の拠点としての複合施設」として計画された。建築面積3,362㎡、延床面積4,321㎡。設計監理は創建社、意匠協力は協立建築設計事務所、構造協力は斎藤公男+大塚建築構造設計室、構造デザインK&S、幕田設計、施工は伊藤・草別白戸・択成JV。鉄骨は新日鉄エンジニアリング(田島工業、井上鐵骨工業)が担当した。図書館棟と体育館棟はExp.jにより2棟に分けられ、図書館棟はSRC造一部RC造、S造のラーメン構造、体育館棟はSRC造・RC造の耐震壁付きラーメン構造。体育館棟のアリーナは28m×34m、天井高さ12.5mで、屋根はS造張弦トラス構造を採用している。アリーナ屋根は半径約141mで、柱長さ6m、梁スパン33.4mの門型架構が約3m間隔で並び、積雪荷重に耐えるためにトラス梁を方杖で支える架構システムとなっている。建設工事は昨年3月に着工し、今年春に竣工した。